「一般道はしなくてもOKでしょ?」とか言ってたらヤバイぞ! 後部座席のシートベルトの決まりを今一度ハッキリさせる

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いまだ一般道での着用率は半分以下

 4月上旬になると大きなランドセルを背負った、ピカピカの一年生をよく見かけるようになる。そうした子供たちを交通事故から守るために、この時期になると交通取締やパトロールも増える(2023年の全国交通安全運動は、例年より一カ月遅い5月11日(木)から20日(土)まで)。

 そんなこの時期に改めて気をつけて欲しいのが、後部座席でのシートベルト着用。

 後部座席のシートベルトの着用は、一般道・高速道路を問わず2008年から義務化されているが、警察庁とJAFが合同で調査した2022年シートベルト着用率データを見ると、一般道での後部座席同乗者のシートベルト着用率は42.9%。高速道路でも78.0%しかない。

 一般道でとくに低いのは沖縄県で、なんとわずか13.2%! 次いで佐賀県が26.8%、福岡県が27.6%、滋賀県が28.2%と20%台……。

後部座席のシートベルト

 後部座席シートベルトの着用が義務化され、もう15年も経つのにここまで着用率が低いのは、「後部座席シートベルト装着義務違反」の罰則が軽いためという指摘がある。

「後部座席シートベルト装着義務違反」も立派な交通違反のひとつだが、その罰則は一般道だと、違反点数:なし、反則金:なし。つまりノーペナルティで口頭注意のみ。高速道路でも、違反点数:1点、反則金:なしとなっている。

 しかし、交通事故総合分析センターの調べによると、後部座席でもシートベルト着用・非着用では安全性に大きな差があり、後部座席でもシートベルトを着用することにより死亡率が約3分の1になることがわかっている。

高速バスでのシートベルトの着用は義務

 事故の時、後部座席でシートベルトをしていないと、乗っていた人が車内で全身を強く打ち付けるリスクがあり、さらに車外に放出されて死傷する可能性が大きくなる。

 また運転席、助手席に乗っていた人が、エアバッグと後ろから前に放り出された後席の乗員に挟まれ、致命傷を負うようなケースも少なくない。

衝突実験のようす

 こうしたことを考えると、罰則の有無にかかわらず、大事な人を乗せるのなら、全席シートベルト必着で、ドライバーは同乗者全員にシートベルト着用を呼びかけるべきだろう。

 なお

・ケガや障害などのためにシートベルトを着用すると具合が悪くなる場合

・妊娠中のためにシートベルトを着用すると気分が悪くなる場合

・乗車定員内ではあるが子供を多く乗せるためシートベルトの数が足りない場合

・車内で乳児に授乳やおむつの取り換えなどが必要な場合

・バックする場合(運転手)

 などは例外的にシートベルト着用が免除されることになっている。

 また例外といえば、路線バスやスクールバス・幼稚園バスなどにも、乗客用の席にはシートベルトが付いていない。

 道路運送車両の保安基準 第22条の3(座席ベルト等)が、専ら乗用の用に供する自動車であつて、乗車定員10人以上のもの(高速道路等において運行しないものに限る。)は、運転者席及びこれと並列の座席にしか、シートベルトの装着を義務づけていないため。

路線バスの車内

 路線バスや通学・通園バスは高速道路に乗らないし、基本的に低速走行。頻繁に人が乗り降りするなどの理由から、例外的にシートベルトなしでも合法とされているらしい。

 一方で同じバスでも、高速バスや貸し切りバスでは、シートベルトの着用義務があるので要注意。高速バスや貸切バスで高速道路を走行中に乗客がシートベルトを締めていないと、バス会社が違反と扱われて切符を切られ、行政処分(基礎点1点)を受けることになる。

 シートベルトを締めるのは、バス会社のためではなく、誰よりも自分のためなので、高速バスでも乗用車でも、クルマに乗ったら自分のためにシートベルトを装着することを習慣づけるようにしよう。