「NHKのど自慢」生演奏からカラオケに 2日放送から バンドの味わい惜しむ声も

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東京都渋谷区のNHK放送センター

全国各地でアマチュア歌手が歌声を競うNHKの長寿番組「NHKのど自慢」が、4月2日の放送回から改編され、バンドの生演奏だった出演者の伴奏がカラオケに切り替えられる。NHKは「誰でも、どんな曲でも、気軽に挑戦できるようにした」と理由を説明するが、生伴奏を根強く支持するファンも多く、バンドによる演奏を惜しむ声が聴かれた。

改編では番組ロゴや舞台セットを一新し、冒頭のテーマソングはバイオリニスト、葉加瀬太郎さんの演奏にリニューアルされる。司会は、小田切千アナウンサーに代わり、二宮直輝、廣瀬智美の両アナウンサーが交代で務める。伴奏はこれまで、地域ごとでミュージシャンがバンドを編成していたが、カラオケに統一される。名物である合格・不合格を伝える「鐘」は、鐘奏者の秋山気清さんが番組を卒業、各地の地元オーケストラの打楽器奏者が行う。NHKは「訪れた地域のみなさんとお近づきになるために生まれ変わります」と説明する。

3月31日に行われた改編発表を受け、ニュースサイトの掲示板やSNSでは「経費削減ではないか」「らしさが失われる」などと批判的な声が多く投稿された。

のど自慢の演奏に憧れ、自らも趣味でピアノ伴奏を行う岡山県倉敷市の公務員、佐藤孔基さん(42)は「出演者にとっては一生に一度の晴れ舞台。生バンドでやるから意味があり、本当に残念」と悲しむ。

佐藤さんは昨年10月、人通りの減少に悩む岡山県有数の商店街「表町商店街」(岡山市北区)の振興イベントに参加し、生演奏による「のど自慢大会」を企画した。アーケードの一角で、集めたバンドメンバーは5人全員がスーツ姿で伴奏。お年寄りが歌うときには少しテンポを落としたり、音程が取りにくい人には意図的に主旋律を伴奏に取り入れリードするなど「本家」さながらの気遣いも見せた。

佐藤さんは「本番の緊張感の中で、バンドが見せるアレンジや工夫が魅力だった」と話す。事前に応募した計15組が参加し小学生の男児が優勝、イベントは成功を収めた。

番組改編について「カラオケで歌いやすくなる」「変えるのが遅すぎた」と、好意的に受け止める声もある。改編後の初めての放送は、4月2日午後0時15分、NHK総合テレビで。新潟県村上市から生放送される。