自転車ヘルメット着用、きょうから努力義務…過去5年間の死者の56%が頭部損傷

 改正道路交通法が1日に施行され、自転車に乗るすべての人を対象に、ヘルメットの着用が努力義務となった。転倒時の頭部の保護が命を守ることにつながるためで、各地の警察が民間企業などと連携して広報啓発に力を入れる。

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 警察庁によると、昨年までの5年間に自転車事故で死亡した人は2005人で、うち約56%(1116人)は頭部の損傷が致命傷になった。死者の約65%は65歳以上の高齢者だった。

 だが、昨年の事故の死傷者をみると、65歳以上のヘルメット着用率はわずか3・6%で、全世代平均の9・9%より大幅に低い。自転車に乗る際にヘルメットをかぶる習慣がない人が多いためとみられる。

 道交法ではこれまで13歳未満への着用を保護者の努力義務としてきたが、改正法では、すべての利用者に対象を拡大した。あくまで努力義務で、未着用でも罰則は科されない。

 警視庁や大阪府警などは既に巡回などの業務で自転車に乗る警察官にヘルメットをかぶらせている。今後、啓発活動を強化して高齢者らの着用率を高めて、重大事故の減少を目指す。

 警察庁幹部は「時間はかかると思うが、中長期的な対策で着実に普及を進めたい」と話している。