国産初の量子コンピューター稼働 理化学研究所 米中先行も日本に勝機あり

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稼働した国産初の次世代計算機「量子コンピューター」と開発を率いた量子コンピュータ研究センターの中村泰信センター長=27日午前、埼玉県和光市の理化学研究所(酒巻俊介撮影)

理化学研究所などが開発した国産初の量子コンピューターが27日、稼働した。理研が埼玉県和光市に設置した試作機で、インターネット経由で大学や企業なども利用できる。量子コンピューターはスーパーコンピューターでも困難な問題を解けると期待され、科学や産業に革新をもたらす可能性を秘めた夢の計算機。幅広い人材に使ってもらい、関連技術の研究開発を促進し、世界で激化する量子コンピューターの開発競争で巻き返しを図る。

量子コンピューターの開発競争はこれまで米国と中国が先行してきたが、実用的な量子コンピューターの実現はまだ先とみられ、日本にも勝機は十分にある。国産機の登場で日本が世界と伍(ご)していく態勢が整った格好だ。

政府は量子技術について、経済安全保障上、極めて重要として関連技術の自国保有や人材育成を推し進める戦略を策定。この中で令和4年度内の国産機整備が掲げられ、理研のほか、大阪大や富士通などの研究チームが協力して開発を進めてきた。

計算の基本単位で性能の目安となる「量子ビット」の数は64。本格的な量子コンピューターの実現には100万量子ビット級の集積と高度な制御技術の確立が求められるが、国産機の誕生は今後の開発の大きな足掛かりとなる。