春闘 大手企業で異例の賃上げ相次ぐ 中小経営者「身銭を切ってでもあげざるを得ない」

image

15日、集中回答日を迎えた春闘は記録的な物価高などを受け、異例の満額回答が相次いだ。

過去20年で最も高い水準の賃上げとなったトヨタは、最大で月9370円のアップ。また、NECや富士通は去年の2倍以上と、今の制度では過去最高となる月額7000円のベアで満額回答した。

その背景には何があるのか。株式会社Schoo(スクー)のCCO・滝川麻衣子氏に聞いた。

「日本は20年以上賃金が上がってなく、(平均賃金は)OECD(経済協力開発機構)34カ国中24位。つまり日本で働いても給与がたくさんもらえないということ。それによって、良い人材が入って来ないばかりか海外に出てしまっている。これまで日本はデフレスパイラルに陥っていたが、そんな時にインフレの流れが起きて、一種の脱出のきっかけになったのではないか」

そして、各企業の大卒の初任給を見てみると、三菱商事では5万円、セガは8万円近くアップと商社や銀行、アパレルなど各業界で賃上げとなっている。

春闘 大手企業で異例の賃上げ相次ぐ 中小経営者「身銭を切ってでもあげざるを得ない」

このように新卒の初任給を大幅アップした企業も多いが、どういった狙いがあるのか。

「日本はこれまで新卒一括採用、終身雇用、年功序列という形式をとってきた。入社時の給与は低く、5〜15年我慢すると上がるよと言われてきた。しかし、今の若者は長期間の下積みには耐えられないと言っている。その前に辞めてしまうのであれば、最初から一定の給与をあげないと良い人材は入って来ない」

春闘 大手企業で異例の賃上げ相次ぐ 中小経営者「身銭を切ってでもあげざるを得ない」

一方で、雇用の7割を占める中小企業にこの賃上げの流れは波及するのか。

ある中小企業の社長は、工場の電気代や材料費の高騰で賃上げは難しい状況だとしながらも、「従業員の生活を考えると身銭を切ってでも上げざるを得ない」と話している。

この中小企業と大企業の現状についてどう思うか。

「下請けは立場が弱く、燃料高などコストが上がった分は中小企業が引き受けている。そんな中で、賃上げもするというのは会社(経営)がもたなくなる。とはいえ、20〜30年デフレが続いているので、消費者も価格が上がることに対して、かなり受け入れ難い心理状態にある。賃金も上げて、それによって購買力が上がり、物価も上がるという流れを日本も作れるのかの瀬戸際だ」

(『ABEMAヒルズ』より)