緑内障の最新事情…診断の重要ポイントは視野?眼圧?それとも?

 今回は、ゆっくり進行する目の病気の代表格で、40歳以上の日本人の17人に一人はかかるとされる「緑内障」を紹介します。

緑内障は視野が狭くなる?

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 緑内障の8割以上を占める「 開放隅角かいほうぐうかく 緑内障」では、初期の症状が発見されてから、生活の上で視野の異常を自覚するまでには10~30年ほどかかるような、ゆっくり進む病気です。「緑内障は視野が狭くなるもの」と一般には思われているようですが、実は視野の中で、感度が本来のレベルよりも低下する部分が出てきて、それが少しずつ広がっていく病気だといったほうが正確です。

 緑内障の初期には、自覚症状がありません。毎年の定期検診や、眼科検査を含む人間ドックだったり、あるいはたまたま眼科医を受診した時に、よく見つかります。一方、そういう機会がなく、かなり進行してから、不自由さや目の疲れを自覚して見つかる場合もあります。こうなると、現在の長寿の時代にあって、「命の炎が消えるのが先か、目の光が失われるのが先か」という、好ましくない「レース」が展開されてしまいます。

眼圧よりも重要だが…視野の検査結果はあてにならない?

 緑内障を診断するための手がかりは主に三つあります。眼底にあって視神経が束になっている部分「視神経乳頭」の状態、視野と眼圧です。

 眼圧の重要度は、ほかの二つと比べて高くありません。日本人には、眼圧が正常の範囲内で起こるタイプ(正常眼圧緑内障)が多いからです。

 視野はどうでしょう。緑内障では、視野の感度が低下する特徴的な部位があるので、視野が重要な要素であることに異論はありません。

 過去何年かの視野の感度から、10年後、20年後の視覚の不自由さを推測できるコンピュータプログラムも出ています。これを使うと、のんびり構えていた医師も患者も、「はっ」とするでしょう。

 緑内障の発症に影響する「網膜神経節細胞」は、相当ダメージがひどくならないと視野の感度に反映されない、というやや古い研究があります。これを根拠に「視野はあてにならない」という主張があります。しかし、視神経の病気を多くみている私は、これには賛同できません。