扇千景さん死去、89歳 宝塚歌劇団で活躍、女性初の参院議長

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 元参院議長で俳優の扇千景(おおぎ・ちかげ、本名林寛子〈はやし・ひろこ〉)さんが9日、食道胃接合部がんで死去した。89歳だった。葬儀は27日正午、東京都港区芝公園4の7の35の増上寺光摂殿で。喪主は長男、中村鴈治郎(なかむら・がんじろう)=本名・林智太郎=さん。

宝塚歌劇団で活躍し、映画俳優、テレビ司会者などを務めた。夫は歌舞伎俳優の四代目坂田藤十郎氏。1977年の参院選全国区で福田赳夫首相らに推され、自民党から立候補し、初当選。当選5回。

 94年に自民離党後、新生、新進、自由党と渡り歩いた。自由党の連立離脱と分裂で、2000年4月、保守党を結成して初代党首に就任した。同年7月に第2次森内閣の建設相として初入閣。01年の省庁再編で初代国土交通相に就任した。03年には保守新党解党で、自民党に復党した。

 04年、女性として初の参院議長に就任。07年の参院選前に政界引退を表明し、「女優時代とあわせて55年間、普通のことができなかったので、普通のことがしたい」と語っていた。

 10年には女性初の桐花大綬章を受章した。

 宝塚歌劇団での芸名「扇千景」は神戸港の別称「扇港(せんこう)」からとった。56年秋の雪組公演「夜霧の女」では、当時絶大な人気を誇ったトップスター春日野八千代さんの相手役を務めるなど、華のある娘役として早くから活躍した。

 「映画専科」に八千草薫さんらとともに配属され、在団中から数々の映画にも出演。57年5月に退団した。宝塚歌劇が100周年を迎えた14年には、宝塚大劇場兵庫県宝塚市)に設けられた「宝塚歌劇の殿堂」に顕彰される著名な卒業生ら100人に選ばれ、“殿堂入り”を果たしていた。