年金で暮らす無職世帯の生活費はどのくらい? 公的年金だけで足りるの?

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老後は年金をもらえるといっても、それだけで生活費は足りるのか、気になっている人もいるかもしれません。そもそも生活費はどのくらいかかるのか知りたい人もいるでしょう。
本記事ではそのような人に向けて、年金で暮らす無職世帯の生活費はどのくらいなのかをはじめ、公的年金だけで生活していけるのかどうかなどを解説します。

年金で暮らす無職世帯の生活費はどのくらいかかるのか

総務省統計局が実施した調査結果をもとに公表された「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における消費支出は22万4436円となっています。非消費支出分の3万664円も加えると、1ヶ月当たりの平均支出金額は25万5100円です。また、65歳以上の単身無職世帯における消費支出は13万2476円、非消費支出は1万2271円であることから、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月当たりの平均支出金額は14万4747円であることが分かります。なお、非消費支出とは、保険料や税金などで強制的に支払わなくてはいけない支出のことです。
収入金額については、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における社会保障給付の平均金額は21万6519円、65歳以上の単身無職世帯における社会保障給付の平均金額は12万470円という調査結果が出ています。この調査結果から、どちらの世帯も年金などの社会保障給付のみで生活していくことは難しいと分かるでしょう。
また、厚生労働省の「2021年 国民生活基礎調査の概況 各種世帯の所得等の状況」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」が、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯全体の24.9%であるという結果が出ています。このことからも、年金のみで生活ができている世帯は全体の4分の1程度であり、多くの世帯が公的年金のみでの生活は難しいといえるでしょう。

老後の生活を豊かにするためにやっておくべきこととは

年金を受け取っている人でも、生活費のためにパートなどで働く場合もあるでしょう。もちろん、年金を受け取りながら働いて生活費を稼ぐ方法もありますが、働かずに余裕のある暮らしをしたい場合は、現役時代から貯蓄をすることも効果的です。貯蓄については、ただお金を貯めるだけでなく、あらゆる制度を活用するのもよいでしょう。厚生年金に加入している場合は企業年金制度、国民年金に加入している人であれば国民年金基金や個人型確定拠出年金といった私的年金制度などがあります。
特に個人型確定拠出年金(iDeCo)は掛け金の全額が所得税控除の対象となるほか、受取時の各種控除もあるため、税金を抑えながら貯蓄できるでしょう。将来に向けてなるべく早い段階からこれらの制度を活用し、老後の資金準備を進めることが大切です。

公的年金だけで生活するのは難しい

本記事で解説したように、定年後、公的年金のみで生活することが難しい世帯は多いでしょう。余裕のある暮らしをするためには、現役時代から計画的に将来のための貯蓄をすることが大切です。単にお金を貯めるだけでなく、私的年金制度や企業年金制度、養老保険の活用などで老後の資金を準備することもできるため、自分に合った方法で計画的に貯蓄を進めていきましょう。

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 総世帯及び単身世帯の家計収支
厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況 各種世帯の所得等の状況
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部