上野『シャンシャン』返還 変わりゆく“パンダ外交”のしかかる巨額の維持費問題

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東京・上野動物園のパンダ『シャンシャン』が21日、大勢のファンに見送られながら、中国へ返還されました。
シャンシャンは2017年6月12日、上野動物園初の自然交配で生まれました。
初めて見る雪を口にしてみたり、お母さんに“膝カックン”してみたり、好奇心旺盛でお転婆な子でした。
観覧の抽選倍率は最高で144倍。上野の街だけでなく、日本中がその成長を見守ってきました。
産まれてから2080日目の21日。いつもより少し早起きをして、落ち着いた様子で輸送用のケージに入ったといいます。
沿道には、朝早くから待つファンの姿が。
ファン:「シャンシャンモデル(のぬいぐるみ)なので、一緒に見送ろうかなと。悲しくてダメでした。涙が止まらなくて」
そして、成田空港へ。この時の気温は7.4度。風も強く寒い一日のはずですが、少しでも長くシャンシャンと一緒にいられるなら、なんのそのです。
ファン:「シャンシャーン!!」
いまだ生息数が少ないパンダの子孫を絶やさないため、中国に帰りますが、共に生きてきたファンにとっては、家族との別れを意味します。
ファン:「思いがもうすごい…うまく言えないです」「小さいころからの姿が、すごくよみがえってきて。色んな思いが、思い出とかがあふれてきました」「我が子以上ですね。頑張ってねと思う気持ちと、寂しい気持ちと両方…」
中国からパンダをレンタルしている国は18カ国。中国にとっては“友好”を示す大事なツールです。
中国外務省・汪文斌副報道局長:「シャンシャンは、中日両国のパンダ保護研究の重要な成果で、両国の友好交流を促進しているかわいい使者です。シャンシャンたちが、中日の人民に楽しみと友好を与えることを願います」
そんな“パンダ外交”が今、転換期を迎えています。
1ペアで、年間50万ドル〜100万ドルかかるパンダのレンタル費用は、動物園にとって大きな負担です。
フィンランドのアフタリ動物園では、パンダ2頭が、2032年までの契約で貸し出されていました。
ところが先月、年間2億円を超える維持費が払えなくなったとして、返還を検討すると明らかにしました。
動物園に来てから5年しか経っていません。
『フィンランド・アフタリ動物園』マルコ・ハーパコスキ飼育員:「動物園が小さくて、入園料収入と高額な維持費と釣り合わなくなった。フィンランドの人口は少なく、ここは首都からも離れているため、来園者もそれほど多くない」
返すかどうかは、今月28日に決まります。
マルコ・ハーパコスキ飼育員:「返還はとても不本意だが、動物園としても何か手を打たなきゃいけない。本当に苦渋の選択になると思う」