都城市が保育料完全無料化へ ふるさと納税財源に 人口増めざす

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人口増をめざす予算案の狙いを説明する池田宜永市長=2023年2月15日午後1時57分、宮崎県都城市役所、中島健撮影

宮崎県都城市は、保護者の所得や子供の数にかかわらず、未就学児保育料新年度から完全無料化すると発表した。中学生以下の医療費自己負担分や、妊産婦健診の無料化にも取り組む。財源にはふるさと納税を活用し、15日発表した一般会計当初予算案に事業費を計上した。

国立社会保障・人口問題研究所が2015年の国勢調査を元にした推計では、現在15万8千人あまりの市の人口は40年に13万2400人に減少する。市は、32年の人口を現在とほぼ同じ15万4千人程度にとどめ、その後は増加させる目標を掲げた。

幼児教育を含めた保育料は現在、国の基準で3~6歳は無料で、3歳未満は第3子以降が無料。市は独自に3歳未満も第1子から無料化する。九州の人口10万人以上の市では初という。

 新たに対象となる子供は約2千人の見込み。最も多いケースの家庭で試算すると、子供2人で年間約70万円の負担減になるという。事業費6億6800万円を予算案に計上する。

 また、小学校入学以降中学校卒業までのこども医療費の助成も拡充。現在、通院時に負担している月200円を無料にする。事業費6億1200万円を計上する。妊産婦健診は現在、1万2千円の自己負担がかかるが、新年度からは無料にする。新たに妊婦歯科健診も無料で始め、計1億4100万円の事業費を充てる。

 市によると、20年度の市の合計特殊出生率は1・72で、32年度に1・90をめざす。また、国・県を上回る給付金で移住を支援し、今年度357人(1月末現在)の移住者を32年度は年1400人に増やし、社会増も図る狙いだ。

 池田宜永市長は「国も人口減対策に力を入れているが、1歩2歩先に行けば、国に背中を押してもらえる。人口が減らなければ、他の地域との差がどんどん出てくる。絵空事で言っているつもりはない」と語った。

 当初予算案の一般会計の総額は968億5千万円で前年度比3・4%増。5年連続で過去最大を更新した。今年度のふるさと納税の寄付額は12月末までに177億円と過去最多で、うち141億円を当初予算で活用する。22日開会予定の市議会定例会に予算案を提案する。

 また、市は「こども部」を新設して子供と家庭に対応する業務を集約。人口減少対策課を置くなど、組織も再編する。(中島健)