「年金制度は破綻する」はウソ?払い損にはならないワケを専門家が解説

 人生100年時代。50歳ですら道半ばという長い余生は、喜ばしいどころか、不安でしかないという読者諸兄も多いことだろう。しかし、「お金」「健康」「孤独」といった世間に蔓延している老後不安は本当に正しいのだろうか? ウソに隠された誰も教えてくれない真実を解き明かす。 「年金制度は破綻し、現役世代は払い損になってしまう」といった話はよく聞くが、それは本当に正しいのだろうか?専門家に話を聞いてきた。

年金制度は破綻して払い損になってしまうのか?

間違いだらけの[老後不安] 

少子高齢化が進めば、年金制度は破綻する─。経済コラムニストの大江英樹氏は「『印象論』でしかない」と切り捨てる。 「昔は年金を納める人が多く、貰う高齢者が少ない『ピラミッド型』だったのに対し、現在は少子高齢化によって『逆ピラミッド型』になり、『若者一人で多くの高齢者を支えている』という考えから“年金は破綻する!”と言われる。実は、これも間違い。  単に65歳以上か65歳未満かという年齢で切っただけの数字なのです。年金のような社会保険制度は、年齢に関係なく働いていれば保険料は払いますから、正しくは『一人の就労者が何人の高齢無職の非就労者を養っているか』です」

年金制度は破綻しないワケを専門家が解説

「算出してみたところ、この比率は1970年に0.39人だったのが2020年は0.57人と増えていますが、2040年の予測は0.53人と減少。現在は、将来の現役世代の負担が大きくなりすぎないように一定水準で保険料の上限を決め、その範囲内で年金の給付を行うよう制度改正されています。

間違いだらけの[老後不安]

出典:「総務省統計局 労働力調査」、「国立社会保障・人口問題研究所」等のデータを基に作成

 さらに、女性や65歳を過ぎても働く人の比率が増えており、“支える側”に回る人口も増えていますし、現役世代の負荷が重くなり続けることはありません。現在は共働きの家庭も多いですから、世帯あたりの受給額は増えていくはずです」(大江氏)

間違いだらけの[老後不安]

出典:内閣府「高齢社会白書」

仕組みが分かっていない人の話に踊らされるな

間違いだらけの[老後不安]

※画像はイメージです

 経済学者の髙橋洋一氏も「数字や制度の仕組みをわかっていない人の話に踊らされているだけ」と指摘する。 「テレビの企画で年金破綻論者と議論をした際、彼らに『では、何年後にどのくらいの確率で破綻するのか教えてください』と聞くと、誰も答えられない。年金は『保険』であって、専門家が全部データに基づいて計算しています。その計算や仕組みを理解できない人が年金の破綻を論じているのは、もはや茶番でしかありません」  もはや年金の破綻を心配するのは、時間の無駄のようだ。

★真実!年金は破綻せず、負荷も重くなり続けない

間違いだらけの[老後不安]

大江英樹氏

【経済コラムニスト 大江英樹氏】野村證券で個人資産運用や企業年金コンサルに従事した後、’12年に独立。資産運用などに関するさまざまな活動を行う。著書多数

間違いだらけの[老後不安]

髙橋洋一氏