国債減額方針で分かる…日銀の金融引き締め前のめり姿勢 短期金利上昇はすぐにはないが…次の利上げへの「地ならし」に

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日本銀行本店

日銀は14日の金融政策決定会合で、国債買い入れの減額方針を決めた。次回会合で1~2年の減額計画を決めるという。

日銀は、3月18日の決定会合で、短期のマイナス金利を解除し、短期金利とともに長期金利をある程度決めるイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)も撤廃した。現在、短期金利について、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0・1%程度で推移するよう促す」という金融政策を行っている。この意味では、長期金利については政策目標とはなっていない。

ゼロ金利になった1999年以前の金融政策では、短期金利だけを政策目標としており、長期金利は市場の実勢に委ねていた経緯がある。

ただし、長期国債およびCP等・社債等の買い入れについては、今年3月の金融政策決定会合で決定された方針に沿って実施するとしており、足元の長期国債の月間買い入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買い入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していくとしている。

今回、この買い入れ額を減額し、当面の予定額を定めようとしているわけだ。

以上の説明では、短期金利は政策目標であり、当面変更しないが、長期金利は自由なので日銀が介入しないようにするとのことだろう。まるでマネー量と金利が切り離されて、別々に決まっているかのように説明されているが、本当だろうか。

長期国債の買い入れ額の減少は、日銀のバランスシート(貸借対照表)からみれば「資産」項目の減少であるので、同時に「負債」項目であるマネタリーベース(中央銀行が市中に供給する資金)の減少になる。これは、短期金利の上昇圧力になる。ちなみに、日銀保有の上場投資信託(ETF)に含み益があるので、これを「日銀埋蔵金」として、ETFの売却を主張する人もいるが、これも資産項目の減少であり、マネタリーベースの減少になるので要注意だ。金融引き締めのための巧妙な罠(わな)になっている。

いずれにしても日銀は、日々の資金調整を行いながら露骨に短期金利上昇にならないようにするので、すぐには短期金利上昇が顕在化するわけではないが、次の政策金利引き上げに向けての地ならしになっていると、筆者はみている。

要するに、長期国債の買い入れ額の減少は、目先の長期金利の上昇要因になるばかりか、近い将来の短期の政策金利の上昇要因にもなっている。マネー量と金利が無関係なはずはないのだ。ここまでくると、やはり植田和男総裁体制の日銀は、金融引き締めに前のめりすぎることがわかるだろう。

金融政策は「ビハインド・ザ・カーブ」で行うべきであるので、インフレ目標が2%の場合、インフレ率が4%程度になるまで金融引き締めをしてはいけない。そうでないと、いま開きつつあるGDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)がさらに拡大し、景気の腰を折るだろう。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)