花が終わったらどうなる? 寿命は? 意外と知らない紫陽花の生態

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梅雨どきを代表する花といえば紫陽花(あじさい)です。今年も、あちこちで見かけるようになりました。花が咲いていると目立つ紫陽花ですが、1年をどう過ごすかなど、生態についてはあまり知られていないようです。
そこで、花が咲いていない時期を含めたあじさいの生態を、京都府立植物園・あじさい園の管理を担当する中井貞さん(樹木医)に伺いました。

紫陽花(あじさい)とは?

あじさいの学名(属名)はHydrangea(ハイドランジア)ですが、どのような意味なのでしょうか。
「ラテン語の水(hydor)と容器(angeion)を合わせた語で、水がめの意味です。まさに梅雨時期を代表する花木といえるでしょう。
万葉集に2首読まれるなど日本におけるあじさい観賞の歴史は古く、芭蕉の句にも“あじさいや藪の小庭の別座敷”があります。
日本に自生するあじさいは、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイなどがあり、これら原種の変異や交雑により、数百に及ぶ園芸品種が生まれました。
江戸時代に中国を経由してヨーロッパに伝わったあじさいは、イギリスやフランスなどで品種改良が行われ、逆輸入されて<セイヨウアジサイ>と呼ばれています。
花の咲き方は、中央部の両性花を囲むように装飾花がつく“がく咲き(レースキャップ系)”、花のほとんどが装飾花である“てまり咲き(ホルテンシア系)”など、いろいろと咲き方の違いがあります」(中井さん)

春夏秋冬を通したあじさいの変化

あじさいは花が終わるとどのように変化するのでしょうか。
「栽培している人は、花が終わったら剪定(せんてい)や植え替えを行ってください。涼しくなった9月頃には花芽(はなめ・かが)が形成され、11月頃から落葉が始まります。冬になると枝だけを残して休眠状態に入ります。育てている場合は、防寒対策を行って寒肥(かんごえ)を与えましょう。
冬場は枯れた枝だけのように見えますが、枝の先端にはしっかりと次の春に葉や花になる冬芽(ふゆめ・とうが)が付いているのが分かります。冬芽がつかない枯れ枝は整理しましょう。
春先の3月頃から葉が伸びていき、初夏が近づくと葉のついた枝の先につぼみができているのがわかります。つぼみは少しずつ大きくなり、5月末から7月にかけて花を咲かせます。
梅雨になるので外のあじさいは水に不自由しませんが、鉢植えの場合たっぷり水をあげてください」(中井さん)

アジサイの寿命はどれくらい?

「評価と判定が難しいので、寿命を明確に示すことはできませんが、野生状態や生育に適した環境で地植えされたあじさいは、ブッシュ状(丈低く株元から枝が密生して茂った状態)の枝が数年から十数年程度で入れ替わりながら、何十年もその地で生き続けます。
鉢植えの場合、3年程度で鉢の中に根が詰まった状態になったら植え替えが必要です。鉢植えは、暑さ、寒さ、霜、直射日光など、不利な生育条件を避けて避難させることができるのが、地植えとの違いです。
いずれの場合も、水やり、施肥(せひ)、花後(かご)の剪定など、基本的な維持管理作業を適切に施すことで、健全な状態が長く続きます」(中井さん)
自生しているあじさいを観賞するだけでなく、地植えや鉢植えに挑戦してみるのもいいかもしれません。