“高齢者の定義”65歳⇒70歳に?5歳引き上げると「定年」「年金」はどうなるの?経済評論家が解説【ひるおび】

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高齢者の定義を65歳から70歳にする、”5歳引き上げ案”が出されています。
私達の生活にどんな影響があるのでしょうか?経済評論家の加谷珪一氏に聞きます。

“高齢者の定義”を5歳伸ばすことを検討

5月23日の経済財政諮問会議で
▼年金制度の見直し
▼高齢者や女性の就労を増やす
▼中小企業の賃上げの後押し
などが話し合われていた中、経団連の戸倉会長らから「高齢者の定義を65歳から5歳伸ばすことを検討すべき」という提言がありました。

また、新藤経済再生担当大臣も「健康で意欲のある方々による生涯の活躍の推進が労働市場の活性化に繋がっていくのではないか」と後押ししています。

街の人はー

50代男性・会社員
「今の高齢者は非常に元気ですし働く意欲もたくさんあるので、そういうエネルギーを生かした方がいいと思います。(自分も)できる限りは働きたいと思います。」

50代男性・会社員
「歳をとっても働きたいと思うことは多いと思うので、そういう面ではいいとは思うんですが、年金などは急に言われても準備ができないので、先をちゃんと提示された上で準備できる時間があるかどうかが重要」

50代女性・会社員
「(定年は)人によって違うと思うので、選択できるような形を選べるといいと思います」

50代女性・飲食業
「動けるうちはいいんですけど、いざ働けなくなってしまったときにどう貯金を崩していけばいいのか。(高齢になると)忘れていく方が多くなってくるので、(働くことは)かなり厳しくなってくると思います。

恵俊彰:
僕はもう60歳になる歳なので同級生とそんな話を始めてますけど、大体皆さん65歳ぐらいまで働ける環境になっているので、当然高齢者の定義も伸ばされるんだろうなという気がします。

弁護士 八代英輝:
知り合いに自衛隊関係者が多いんですけど、自衛隊だと53歳から定年退職が始まるんですよ。そうなると皆さんセカンドキャリアをどうするかをしっかり考えなきゃならないですし、ずっと自衛隊の中で教育も受けてきてすごく力がある方が早くに組織から去らざるを得なくなってしまうのは損失だと思います。

「定年」はどうなる?

5歳引き上げられると「定年」はどう変わっていくのでしょうか?

現在、定年制を導入している企業は96%。定年の年齢は以下の割合です。
60歳・・・66.4%
61~64歳・・・2.7%
65歳~・・・26.9%

経済評論家 加谷珪一氏:
確かに60歳の定年の会社が多いんですけど、社員が希望すれば65歳まで継続雇用しなきゃいけない義務があるので、事実上65歳の定年にかなり近づいてきている。
さらに70歳まで希望すれば働ける、そういう流れになってきていると思っていいのではないでしょうか。

「年金」はどうなる?

2022年度の厚生年金における収支は、歳入が49兆1516億円、歳出は48兆4628億円と、歳入の方が6887億円多くなっています。
しかし定年により仕事を辞める人が増えると、歳入が減少してしまいます。

経済評論家 加谷珪一氏:
今の日本の公的年金制度は、現役世代が支払った保険料を高齢者の方に支払うという仕組みになっているので、高齢者の数が増えると若い方の負担が多くなるわけですよね。
今政府は、高齢者の方にちょっと我慢してもらって、年金の額を減らして若い人の負担を減らしましょうということをやってるんですね。

「マクロ経済スライド」という、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整するしくみがあります。

2024年度の年金支給額は2023年度より2.7%引き上げられていますが、実際の物価の変動率は3.2%
物価上昇率ほどには年金の支給額は増えていないので、実質的には減額になっているといえます。

厚生年金と国民年金は、基本的に支給開始は65歳からとなっています。
これが70歳になることはあるのでしょうか?

加谷氏は「生活の困窮に直結するので、すぐに受給年齢は引き上げないだろう」と話します。

経済評論家 加谷珪一氏:
なかなか難しいんですけれども、年金を払う年齢を遅らせれば政府としては楽になるんですけれども、早く年金をもらいたい方もいるわけですよね。
今「繰り上げ」して早くもらうこともできる仕組みにはなっているんですけど、私は当分65歳の支給開始は動かないんじゃないかと思っています。
その分少し年金が減って長く働いてくださいねという形になるんじゃないかと予想しています。

小林由未子アナウンサー:
健康でいるというのが前提条件ですよね。

経済評論家 加谷珪一氏:
どうしても体が動かなくなってしまうとやはり年金だけが頼りということになりますから、その分はちゃんとケアをしていかないと社会がうまく回らなくなってしまいますからね。

国民年金に関しては、納付を5年延長するという案も出ています。
今納付は60歳までですが、これを65歳まで5年間延長することで、約100万円納付額が増え、受給額もその分増えるというものです。

経済評論家 加谷珪一氏:
皆さん、この話を聞くとさらに5年多く保険料を納めなきゃいけないかと思っちゃうんですが、さっき申し上げたようにほとんどのサラリーマンの方が今65歳まで働きますので、もう保険料は納めているんですよね。
ですので本当に負担が増える人は、60歳で辞めてしまった方です。もし5年延長になると、残り5年分払ってくださいということですよね。
また、国民年金だけに加入してる方も、今まで60歳で終わりだったのが65歳まで伸びる。ただ、たくさん払った分だけ年金の額は増えます。

今後の動き

≪6月ごろ≫
政府は、男女・若者・高齢者を問わず誰もが希望に応じて働き続けられるよう全世代を対象としたリスキリング(学び直し)の強化に向けた必要な方策を「骨太の方針」に盛り込む考えです。

≪夏ごろ≫
年金の将来の給付水準を点検する「財政検証」の結果が公表されます。

経済評論家 加谷珪一氏:
骨太の方針にどんな方針が盛り込まれるか、財政検証でどんな話が出てくるかで来年の通常国会の法案が決まります。
ただ選挙があるのか、総裁選があるのかなど政治もいろいろ動いていますので、皆さんよくチェックしておいた方がいいと思います。

コメンテーター 山之内すず:
今現役で働く世代としては納付してくれる方が増えるというのはありがたいなとも思うんですけど、私達の世代が歳を重ねたときにどうなっているのかという不安もあります。
年の重ね方もそれぞれ違うと思うので、働きたい方は働けて、年金をしっかりいただける方はいただける、ライフスタイルに合わせた選択をできるのが何よりなのかなと思います。

恵俊彰:
選べるということが一番幅があっていいことなのかもしれませんね。
経済財政諮問会議で定年について語ることが、経済の話に直結する時代なんですね。

(ひるおび 2024年5月27日放送より)
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<プロフィール>
加谷珪一氏
経済評論家 元日経BP記者
著書に『貧乏国ニッポン』
中央省庁などに対するコンサルティング業務に従事