漬物が食べられなくなる?6月より変わる『食品衛生法』

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6月1日から食品衛生法が改正されます。
食の安全をさらに強化するための改正ですが、一方でその改正のために昔ながらの漬物を食べる機会が減ってしまうかもしれないのです。
5月25日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが食品衛生法の改正について解説します。

改正のきっかけは集団食中毒

製造販売の衛生基準を定めた法律である食品衛生法。
大石「衛生基準がかなり厳格になるんですよ」
改正のきっかけは、2012年に北海道で発生した集団食中毒。
白菜の浅漬けに含まれていた出血性大腸菌O157が原因で8人が亡くなったのです。
以後、食品衛生管理のさらなる徹底を目指し、2021年6月に改正食品衛生法が施行。
この5月で3年間の経過措置期間が終了し、来月から本格的に運用されます。
その一方で、大石が気になっているのは「漬物づくり」の文化。
大石「なかなか食べられなくなってしまうのではないか?」
今回の改正により、漬物の製造販売には保健所の許可が必要となり、道の駅や直売所など、手作りの小規模な店舗が対応を迫られています。

生活空間と調理空間を分ける

そこで厚生労働省や保健所、製造現場へ取材に赴いた大石。
まず、調理場と手洗い場を分ける必要があります。汚染された手で蛇口を触ることを避けるためです。蛇口はセンサー式やペダル式、レバー式など、非接触方式のものを用います。
次に冷蔵庫の庫内温度の「見える化」。細菌の繁殖を抑えるためには温度管理も重要です。
室温が外に表示されるタイプの冷蔵庫もありますが、内部に温度計を設置する必要があります。
さらに調理空間では畳やカーペットが禁止になり、コンクリートやステンレスなど、水が浸透して床から細菌やカビが繁殖しないような床材に変える必要もあります。
衛生面を保てる床には、ステンレスであることなど、いくつかの条件があります。
大石「そして一番大事なのは、生活空間と調理空間を分けなきゃいけないんです」
台所を使ってはいけないとなると、打撃が大きいのは食品の直売所です。
台所と別空間の調理場を作らないといけません。

自己負担で1千万円

大石「これはね、お金かかりますよ」
愛知県設楽町の60代女性を取材した大石。
今回の改正を受け、かつてスナックだった居抜き物件を完全リフォームし、漬物工場に作り変えたそうです。
大石「外にはネオンサインとかもあるんですよ」
この漬物工場では、床材や空調の変更、冷蔵庫の設置など、諸々で1千万円弱もの費用がかかったそうです。
国や県からの補助金は一切ありません。
大石「1千万円かかっちゃう。やる人いるのか?って話ですよ。全額自己負担です。100万くらいで出来る人もいるかもしれない。100万でも自己負担大きくないですか?」

重い自己負担により相次ぐ廃業

ただし、この女性はレアケース。設楽町の同業者50人からアンケートをとったところ、「6月以降も事業を継続する」と答えた人は4、5人しかいませんでした。
大石「自己負担しないといけないからですよ」
小規模な直売所では、商売というより、「余った分をおすそ分け」という感覚でやっていたようだと大石。
さすがに設備投資までは困難で、今回の法改正により商売をあきらめると言う方が多いようです。
「おばあちゃんの漬物は無添加の伝統食であり、日本の貴重な食文化」と大石。
福祉政策にもなっているため、税金を投入して共同の調理場を設けるなど、文化を守る必要があると主張します。
いろいろな問題があるにせよ、「食の安全を守るのは当然ながら、日本の食文化を守ることもまた大事」と締めくくりました。
(nachtm)