富士登山で予約開始 噴火の危険に“2つの備え”

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 富士山を登るための予約の受け付けが20日から始まりました。こうしたなか、山梨県が注意を呼び掛けているのが「噴火への備え」です。
■通行料2000円妥当?街の人は
 雨が上がり、雲の向こうに富士が凛とたたずみます。海外から国内から、年間20万人以上が訪れる富士。20日から“あるシステム”が導入されます。
 今年7月の山開きから導入される「予約システム」。一日あたり上限4000人となり、通行料も徴収されます。
 富士山の主な登山道は4本。そのうち6割以上が利用する山梨県側の「吉田ルート」で2000円を徴収することになります。2000円、皆さんは高いと思いますか。安いと思いますか。
60代の人
「もっと払ってもいい。自然を壊さずに維持して楽しめるなら、お金は必要だと思う」
「良いのでは。規制しないとオーバーツーリズムなので。けがした人とか具合悪くなる人、税金で助けないといけない」
20代 会社員
「ちょっと高いなと思う。本当に登りたいなら払ってもいい」
 吉田ルートの5合目。海外からの観光客も好意的に受け止めています。
スウェーデンからの観光客
「自然保護のため欧州ではほとんどの場合、料金かかる。ヨーロッパのいくつかの国では普通のことです」
オーストラリアからの観光客
「山を守るためですよね。美しい山なので皆が見られるように敬意を払って登るべきです」
■トラブル相次ぐ登山客 現場は?
 去年夏、山頂付近での映像。深夜にもかかわらず、ご来光を目指す登山客が列をなし、進んでは止まりを繰り返す状況です。富士登山を巡る“オーバーツーリズム”やトラブルが問題となっていました。
山小屋スタッフ
「本当に片付けるの大変。困ります」
 富士が抱える様々な問題。吉田口の土産店は、予約受付での登山を前向きに捉えています。
富士山5合目 小御岳茶屋 小佐野美香子オーナー
「来る人には大変だが、自然を守ることを考えると仕方ない。たくさんの人がいっぺんに来ると事故が多くなる。病気をした時も混んでいると手が届かない」
 午後4時の段階で、およそ2000件の予約が受け付けされました。こうして集められたお金はトラブル解決“以外”にも使われます。
山梨県 富士山保全・観光エコシステム推進監 岩間勝宏さん
「年間3億円の収益。通行料は山中での安全誘導や巡回指導、規制関係の運用経費やゲート設置、将来的にはシェルターの設置などに使用する予定」
 実は今、入山規制と同時に呼び掛けられているのが「富士山噴火」への備えです。
■噴石対策「シェルター」設置へ
 先月22日、山梨県が公開したばかりの動画です。「富士山噴火」のリスクについて触れられています。富士山は5600年間に180回もの噴火を繰り返してきた「活火山」で、最後に噴火してから300年以上が経過。「いつ噴火してもおかしくない」とされています。
富士山科学研究所 吉本充宏研究部長
「これまでの富士山噴火を見ても、規則性がほとんどない。すぐに活動が活発化して噴火する可能性もあれば、我々が生きている間に噴火しない可能性も当然ある。例えば来月、再来月の状況は我々は分からないと思う」
観光客
「御嶽山ですかね、あんなこと(噴火)もあったので、ないとは言えない。でもあまり考えたことはない」
「(Q.もし噴火したらどうする?)逃げる」
 “万が一の危険”を回避するために我々が知っておくべきこと。一つは「噴石」などのリスクです。
岩間勝宏さん
「噴火時の噴石や落石に対して、登山道には山小屋など避難可能な施設がある。しかし下山道には、こういった施設がほとんどない」
 避難に猶予がない下山道では「シェルター」の設置が急務となっています。実際、長野県では噴火を受けて鋼鉄製のシェルターを設置した事例もあります。山梨県はシェルターに関して今年度に設計して来年度以降、工事に着手したいとしています。
■「横方向」徒歩避難でリスク減
 そしてもう一つ、富士山噴火のリスクとして指摘されているのが「溶岩流」の発生です。
 実は、富士山は3年前にハザードマップが見直され、溶岩流などの被害が「これまでの想定より早く、遠くまで及ぶ」とされました。その影響で、静岡県と山梨県では噴火から3時間以内に溶岩流が到達する地域に住む人がおよそ11万6000人に拡大しています。
 この「溶岩流」のリスクに対しては「知っておく」だけでリスクを回避できる避難方法があるといいます。
富士山科学研究所 吉本充宏研究部長
「徒歩で逃げるを基本に」
 動画の中では「溶岩流」の特徴を「立体模型」を使って再現しています。溶岩流は、一部の限られた範囲に細く流れていきます。その幅は数百メートルから1キロ程度。また、傾斜が緩い所であれば、溶岩流が流れるスピードは歩くスピードよりも遅いくらいだといいます。
 そんな溶岩流がすぐには到達しない地域で大事になってくるのが徒歩での「横方向」への避難です。
吉本充宏研究部長
「数キロも歩かなくても溶岩流の流下方向から少し横にそれるだけで十分、命の危険性が減る」
 歩いて高台に逃げることも有効な一方で、車での避難は渋滞発生など様々なリスクがあるということです。
吉本充宏研究部長
「富士山は活火山であると。『噴火するかもしれない山に登っている』と理解して、どういった情報が出ると危ないのか理解することが登る側は重要」
■噴火前兆は?カギは「地震と膨張」
 この富士山の噴火について、事前に予測するということは難しいのでしょうか。
 富士山科学研究所の吉本さんによると、やはり長期的な噴火の予測というのは不可能だということです。ただ、「前兆現象」を捉えることならできると言います。
 富士山は地下にあるマグマが上昇してきて噴火に至るタイプの火山です。その途中で岩盤が割れて地震が起きたり、山自体が膨張したりする「山体膨張」と呼ばれる現象が噴火の前兆として起きるそうです。
 過去に起きた富士山と同じタイプの噴火の場合、1カ月前や2時間前に確認されたケースもあったそうです。
 もちろん、こういった現象があるからといって噴火が必ず起こるというわけではないですが、気象庁が警報などを出すので避難などに役立ててほしいということでした。