気候変動、世界で最も汚染している国はどこ? グラフで見る現在、過去、今後

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気候変動をもたらす温暖化ガスの各国の排出状況をグラフで見る/CNN

(CNN) ドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締結国会議(COP28)に集まった世界各国の前には、巨大な課題が立ちふさがっている。各国とも「気候惨事」の阻止には大きく出遅れている。化石燃料の使用削減を進める残り時間も少なくなっていると専門家は警鐘を鳴らす。

独立調査機関「クライメート・アクション・トラッカー」のデータは、今もなお排出されている地球温暖化ガスの量、最大の汚染国、この先求められる取り組みの大きさを浮き彫りにしている。

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このデータによると、2022年の地球温暖化ガス排出量は世界全体で500億トン前後。最大の排出国は中国で、全体の30%近くを占める。

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世界の地球温暖化ガスの大半は、ごく限られた国々が排出したものだ。22年の排出量のうち83%は上位20カ国によるもので、中国、インド、米国、欧州連合(EU)の占める割合が高い。こうした国々が気候変動にどう対応するかが、世界の他の地域に桁違いの影響をもたらしている。

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各国の総排出量を人口で割った国民1人当たりの平均排出量を見ると、様相が変わってくる。

中国は総排出量では世界最大といえるが、1人あたりの平均量では米国人が中国人の2倍近く温暖化ガスを排出している。人口密度の高いインドも世界最大の汚染国のひとつに挙げられるが、1人あたりの排出量は世界の平均値を大きく下回っている。

国連が警告しているように、現行の気候変動政策が達成されたとしても、世界の気温は3度近く上昇する方向に向かっている。

各国、とりわけ富裕国には、気候変動対策を迅速に拡大するべきとの圧力が高まっている。以下では現状と、そこにたどりついた経路を見ていく。

COP28では、地球の気温上昇を2度より低く保ち、1.5度目指すというパリ協定の誓約に向け、各国の進捗(しんちょく)状況が判断される。

長年にわたり世界規模で気候変動対策が行われたことで、これまでのところ世界は正しい方向に進んでいる。予想される地球の気温上昇も、10年前の予想とくらべるとずっと低い。

とはいえ、そのスピードは依然としてあまりにも遅すぎる。「ちょっとどころではない。完全に出遅れている」と言うのは、クライメート・アクション・トラッカーにも携わった非営利団体「ニュークライメート・インスティトゥート」の気候学者、ニクラス・ヘーネ氏だ。

専門家の間では、いまとなっては1.5度の目標達成はおそらく無理だろうとの危機感が高まっているが、だからといって緊急度が薄れたわけではない。世界資源研究所の世界気候プログラムで科学研究データ部門を統括するタリン・フランセン氏は、「ゼロコンマの気温が上がっただけでも、地上には非常に大きな影響がもたらされる」と語る。

1.5度から2度の差は、新たに数億人の命が異常気象の危険にさらされることを意味する。一部の生態系では、死刑宣告に等しい。サンゴ礁を例に挙げると、「地球上から消滅する」か、なんとか一部が残っているかの違いがあるとフランセン氏は言う。

同氏は当面の課題を「巨大タンカーを方向転換する」ようなものだと例えた――今すぐ簡単にできるようなことではない。「困ったことに、我々には時間的余裕が残されていない。大至急船の向きを変えなければならない」

データを見れば、なぜそこまで難題なのかがよく分かる。

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温暖化ガス排出量の上位国が掲げる目標を見ると、全く違う側面がうかがえる。

中国の場合、経済成長が石炭に大きく依存していたため、地球温暖化ガス排出量が急増した。だが排出量も落ち着き始め、クライメート・アクション・トラッカーによると25年までには頭打ちになると予測される。また米国同様、中国も再生エネルギーの強化とすべての温暖化ガスの排出削減に力を入れている。

英エクセター大学で気候を専門とするピエール・フリードリンクスタイン教授は、中国は矛盾をはらんだ状態だと語る。中国は世界のどこよりも急速に再生エネルギー開発を進めているが、同時に石炭火力発電所も急ピッチで増設している。「中国のいいところは、変化を起こす力と、そのために金をかける意思があることだ」とフリードリンクスタイン教授は言う。

米国とEUは気候変動政策で高い野心を掲げ、地球温暖化ガスの排出レベルも何年も下降傾向にある。昨年ジョー・バイデン米大統領がインフレ削減法に署名したことで、気候変動対策に米国史上最多の予算が計上された。EUもクリーンエネルギーを大幅に強化するという野心的な計画を発表した。

だが「道のりは長い」とヘーネ氏は言う。そもそも欧米はスタート段階で排出レベルが高く、50年までにカーボンニュートラル――地球温暖化の汚染を可能な限りゼロにし、大気中に残っている分も除去する計画――を達成するには、まだ相当の隔たりがある。

同じく排出量が急増しているインドは、中国とひとくくりにされることが多い。経済成長著しい両国は世界人口の上位2位を占めているが、「実際にはずいぶん様相が異なる」とフランセン氏は言う。

インドは経済成長の軌道にのったばかりで、過去の温暖化ガス排出量にはほとんど寄与していない。人口14億人以上のこの国は、1人あたりの排出量も中国よりはるかに少なく、今もなお「厳しい貧困レベル」への対応に追われているとフランセン氏は言う。

インドの発展と比例して、排出量も増えることが予想される。インドは大規模な再生エネルギープロジェクトに予算を投じているものの、いまも石炭に依存している。

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石炭、石油、ガスの燃焼により放出された二酸化炭素は何百年も大気中にとどまり、地球を温め続ける。

「今日の気候変動の原因は、今年発生した排出量ではない。少なくとも産業革命以降に発生した総排出量が原因だ」とフランセン氏は言う。中国は22年もっとも温暖化ガスを排出した国かもしれないが、累積排出量では米国が群を抜いてトップだ。

先進国は気候変動の歴史的な責任を負っているだけでない。それと引き換えに経済と富を築いてきた。それゆえグローバルサウス(主に南半球の発展途上国)の諸国は、富裕国には排出量削減の迅速な対応と、カーボンニュートラルの早期実現を行う責務があると主張している。

ヘーネ氏も言うように、約30年前にCOPがスタートした時から、公平性という概念は激しく議論されてきた。

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上の表の数値は、1.5度の目標達成を念頭においた上で、クライメート・アクション・トラッカーの専門家が「公平な割合」と考える30年までの各国の排出削減値を示している。公平な割合の算出にあたっては、40以上の科学研究をベースに、各国のこれまでの排出量や、気候対策への財源力など幅広い要素が考慮されている。

フランセン氏も言うように、すべての国に気候変動対策が求められるものの、そのペースは同じではないという現実が数字に反映されている。「国が異なれば、歴史も異なり、現在の能力も異なる」

トップはやはりEUと米国だが、ひとつには、過去の排出量に対してはるかに大きな責任を負っているからだとヘーネ氏は言う。先進国は過去200年近くにわたって相当量の温暖化ガスを排出してきたため、「現在借りがある状態だ」と同氏は続けた。

対極にあるのがナイジェリアだ。他国と比べても、過去の排出量に対する責任はずっと少なく、気候変動対策の資源もわずかだ。ニュークライメート・インスティトゥートのハンナ・フェケテ氏の言葉を借りれば、事実上「排出可能な枠がかなり残されている」。だからといって、ナイジェリアが行動を起こさなくていいわけではないとも同氏は語る。ナイジェリアは世界有数の化石燃料の産出・輸出国で、今回のデータには輸出される排出量まで捕捉していない。

フリードリンクスタイン氏もいうように、各国の公平な排出量を決めるにはいくつもの異なる方法がある。クライメート・アクション・トラッカーの算出法は、各国の責任を数値化する試みのひとつにすぎない。

誰が何をするべきかという問いに、「答えがたった一つということはない」と同氏は続けた。「これは物理の問題ではない。数学でも、気候科学でもない。決定と方針、外交に関するものだ」