土地の分筆にかかる費用はいくら?分筆の費用相場と注意点を解説

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相続した土地を複数人で分けるときや土地の一部を売りたいときは、土地の分筆をおこないます。分筆によって法律上1つの土地を2つ以上に分けることが可能です。
分筆の実施には専門的な知識が必要で、通常は土地家屋調査士に調査を依頼します。しかし、土地家屋調査士とは普段接することが少ないので、報酬がいくらなのか把握している人は少ないでしょう。

この記事では、分筆するときの基本知識と費用の相場について解説します。分筆をおこないたいけれど、費用の相場がわからず不安な人は参考にしてください。

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1. 土地の分筆(分割)にかかる費用

電卓とお金
ここでは、土地の分筆にかかる費用を説明します。まずは分筆の基本知識から見ていきましょう。

分筆(ぶんぴつ)とは

土地の分筆とは、1つの土地を分ける、分割するときにおこなう手続きです。土地は「」という単位で呼ばれ、1つの土地のことは1筆といいます。1筆の土地を2つに分けたときは、2筆に分筆したといいます。

分筆とは別に、土地の分割をおこなうこともあります。分筆は登記されますが、分割は登記をしなくとも可能です。分割は関係者の間で土地の用途や境界を定めているだけの状態で、法律上は1つの土地として扱われます。分筆は登記をおこうので、分筆した土地は法律上別々の土地になります。

分筆をする理由・目的には以下のものがあります。

土地の一部を売りたい

保有している広い土地を一部だけを売却したいときには、分筆をおこなう必要があるでしょう。分筆をして売りたい部分を別の土地にしておかないと、土地の一部は売却できません。

土地を複数の相続人で分けて相続したい

相続人が複数いる場合に、土地を分筆してそれぞれの相続人に相続させることがあります。相続においては土地を共有名義にする方法もありますが、共有名義の場合は売却する際に名義人全員の同意が必要になるなど、管理が複雑になります。土地を分筆して、分けた土地ごとに所有したほうが売却や利用に当たって、他の相続人に同意を得る必要がなく使いやすくなるでしょう。

土地の一部を別の用途に利用したい

土地には用途が決まっています。土地の用途は1つの土地に1用途なので、1つの土地を2つの用途で使用はできません。1つの土地で2つ以上の用途に使いたい場合は、土地を分筆してそれぞれの用途に合わせて登記する方法があります。

共有名義の土地を単独所有に分けたい

すでに何らかの理由で共同名義になっている土地を、複数の所有者の持ち分を決めて明確に分けるときにも分筆がおこなわれます。

分筆にかかる費用

分筆をおこなうときに発生する費用は主に2つあります。1つは分筆後の土地を登録するための登録免許税です。もう1つは土地家屋調査士への報酬になります。

登録免許税

分筆登記における登録免許税は1筆の土地に対して1,000円かかります。2筆に分ければ2,000円、3筆に分ければ3,000円と、分けた土地の数だけ費用が必要です。

土地家屋調査士の報酬

土地家屋調査士への支払額は、依頼の内容によって金額が変わってきます。分筆をおこなうと登記をする必要があり、分筆登記を依頼した場合は、5~6万円程度の費用がかかります。

境界が決まっている土地の場合は、調査や測量などで報酬として10~50万円程度の費用が相場です。

一方で、境界確認書や地積測量図などの土地を確定させる資料がない場合、境界の確定作業をしてもらう必要があります。境界が決まっていない場合は、土地家屋調査士による作業量が増えるため、50~150万円程度の費用を見込んでおいたほうがよいでしょう。土地の広さや依頼内容の複雑さによっては、それ以上の費用となることもあります。

土地家屋調査士がおこなう業務は主に以下の通りです。

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2. 土地の分筆(分割)に必要な書類と期間

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それでは次に土地の分筆に必要な書類と、分筆を依頼してから完了するまでの期間について確認していきましょう。

必要書類

分筆にあたって必要な書類は4つあります。

登記申請書

土地の登記は法務局に登記申請書を提出することでおこなわれます。分筆を行う際には、登記申請書の登記の目的に土地の分筆である旨を記載して、所有者の住所・氏名や代理人の住所・氏名、そして登録免許税額と土地に関する情報を記載します。

地積測量図

地積測量図とは土地の面積を調べるときに使用する図面です。地積測量図は不動産登記法で「一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるものをいう」と定められています。地積測量図は測量ソフトで作成されますが、法令で文字の大きさや太さまで定められている厳格な資料です。地積測量図には土地の面積や形状、隣接地との境界などが記載されており、土地の取引などに必要となります。

境界確定資料

境界確定資料とは、境界が決まっていることを証明する資料のことです。具体的には隣地所有者との筆界確認書や境界の同意書などが挙げられます。

委任状(代理人が申請する場合)

通常は家屋調査士に代理で申請してもらうので、委任状が必要となります。なお本人が申請する場合は不要です。

かかる期間

土地の分筆にかかる期間も、費用と同様に境界が決まっているかどうかで大きく異なってきます。境界が明らかになっている場合は、一般的には依頼してから10~20日程度で完了します。

一方で、境界が未確定の土地の場合は境界の確定作業を終えてからでないと分筆登記ができないため、依頼してから2~3ヶ月以上かかることもあります。

3. 土地分筆(分割)の流れ

ここからは土地の分筆をおこなう場合の流れを解説していきます。

①土地家屋調査士に分筆を依頼

土地の分筆をおこなうときには、まず土地家屋調査士に依頼します。土地の分筆作業の多くは土地家屋調査士に任せることになるので、信頼できる土地家屋調査士を選ぶことが重要です。見積もりを依頼し対応内容を確認しながら選定をおこないましょう。

②土地の境界線の確認

土地家屋調査士は依頼を受けると、法務局で地積測量図や確定測量図を確認したり、登記事項証明書で取引や所有者の履歴などを確認したりして土地の状況を調査します。また、現地を訪問して実地調査もおこないます。このとき隣地所有者の立ち会いのもと境界の確認をすることもあります。

境界がすでに決まっている場合は、分筆点に境界標を設置し、申請書などの書類作成に進みます。境界が決まっていない場合は、土地境界確定測量が必要です。

③土地境界確定測量の実施、境界確認書作成

境界が決まっていない場合は、土地境界確定測量をおこないます。道路と土地の境界が決まっていない場合は、道路を管理する国道事務所などの担当出張所に申請をおこなうことになります。現地立ち合いなどを経て境界について合意すると境界が決定します。隣地が公園などの場合は、所有者が国になるので市役所の担当者などと交渉することになるでしょう。

隣地の所有者との境界が決まっていない場合は、隣地所有者の立ち会いによる確認や交渉により境界を確定させ、境界標を設置します。

境界が確定し終えたら、決まった内容をもとに境界確定書を作成し隣地保有者とともに保管します。

④法務局へ登記申請

土地境界確定測量を実施し境界確認書を作成したら法務局へ登記申請を行います。登記申請には登記申請書と地積測量図、境界確定資料の提出が必要です。また、分筆登記には登録免許税がかかります。

分筆登記の手続きを終えると新しくできた土地には地番がつけられ、その土地の登記記録が作成されます。

4. 土地の分筆(分割)費用を支払うのは誰?

土地の分筆には費用がかかります。特に境界の確定作業が伴う場合、多額の費用がかかる可能性があります。

土地の分筆費用をだれが払うかを決める法律やルールは存在しません。原則、分筆することでメリットを享受する人あるいは分筆をしたい人が費用を負担します。

土地の一部を売却する場合、土地の所有者がどうしても一部だけを売却したいのであれば、分筆の費用は土地の所有者が負担することになるでしょう。一方で、どうしても土地の一部だけを購入したい人がいるとすれば、分筆費用は土地の購入者により支払われることが考えられます。

また、相続により土地を相続人で分けたい場合は、相続人全員が利益を得ると考えられるので、負担を相続人間で按分するという方法もあります。

5. 土地の分筆(分割)ができない場合

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土地の分筆はいつでもできるわけではありません。土地の分筆ができないケースを見てみましょう。

土地の面積が0.01㎡未満になる分け方の場合

分筆後の土地の面積が0.01㎡未満となる場合は分筆登記の申請ができません。土地の登記に記録できる最小単位は「1平方メートルの100分の1(0.01㎡)」で、それ未満は切り捨てられるため、実際に0.0099㎡の土地があったとしても、登記記録には「0.00平方メートル」と表示されることになります。このため、分筆後の土地面積が0.01㎡未満の分筆登記は申請できないのです。

隣地(隣家)との筆界が確認できない場合

土地の分筆登記には境界が決まっている必要があります。境界が決まっていない土地は分筆できません。土地家屋調査士に依頼して、隣地所有者と境界について合意できれば問題ありませんが、隣地所有者と確認できないケースもあります。隣地所有者が行方不明であったり、空き家で所有者がわからなかったりする場合、さらには隣地所有者との折り合いが悪く境界について合意できないこともあり得ます。

このような場合には筆界特定制度の活用を検討しましょう。筆界特定制度は平成17年の不動産登記法の改正により出来た制度で、土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて、筆界特定登記官が外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。

筆界特定制度を活用することによって、公的な判断として筆界を明らかにできるため、隣人同士で裁判をしなくても、筆界をめぐる問題の解決を図ることができます。

筆界特定制度以外にも境界確定訴訟や、行方不明の場合には不在者財産管理人選任や清算人選任の申立てなどの対処法によって、分筆ができるようになる可能性があります。ただし、時間と費用がかかります。

不合理分割の場合

分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときに不合理分割とされます。税金逃れをするためだけに土地を分割するケースなども不合理分割に該当します。

不合理分割とされた土地は、相続税や贈与税の計算をするときには分割前の土地で評価することとされています。

出典:国税庁 財産評価

まとめ

土地の一部を売りたいあるいは土地を複数人で分けて相続したいなど、土地の分筆をする理由はさまざまです。分筆には専門的な知識が必要で土地家屋調査士に依頼することが一般的です。

分筆の登記を土地家屋調査士に依頼すると費用が発生します。すでに境界が決まっている土地であれば、比較的軽めの費用負担ですみますが、境界が決まっていない土地の分筆には境界確定作業をしてからの登記になるため多くの時間と費用がかかります。

分筆の特徴と費用をよく理解して、分筆するかどうかの判断しましょう。

執筆
オウチーノニュース編集部

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