「原子核」についてわかりやすく解説。驚異の構造や発見者、基本的な性質までまるっと理解【親子でプチ科学】

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原子や原子核などの言葉は難しく感じますが、実は身の回りの物質はすべて原子でできています。原子を学ぶことで物質の構造が分かり、科学への興味関心につながるでしょう。原子の中心・原子核に焦点を当て、構造や性質などを分かりやすく解説します。

原子核って何?誰によって発見された?

原子核と原子は、どのような関係にあるのでしょうか。発見の経緯もあわせて、原子核の基礎知識を紹介します。

まずは原子について知ろう

原子核を理解するためには、まず原子について知らなくてはなりません。原子とは、物質を構成するもっとも細かい粒子のことです。生物の体・水・空気から金属やプラスチックにいたるまで、すべての物質は原子の組み合わせでできています。

また、原子にはたくさんの種類があります。原子の種類を「元素」といい、すべての元素を示したものが「元素周期表」です。

元素周期表には118種類の元素が書かれていますが、中には消滅してしまったものもあり、現在自然界に存在する元素は90種類程度とされています。

元素周期表

原子の中心にあるのが原子核

原子核はその名の通り、原子の中心部にあるものを指します。原子は物質の最小単位に違いありませんが、原子そのものは原子核と、その周囲を飛び回る「電子」と呼ばれる粒子でできているのです。

原子のサイズは元素によって異なりますが、いずれにしても大変小さく、直径1億分の1cm程度しかありません。原子核はさらに小さく、1兆分の1cm程度です。

例えば、ヘリウム原子の場合、原子の大きさをドーム球場とすると、原子核は2mmのビーズ玉くらいの大きさです。また、電子1個のサイズは、原子核よりもはるかに小さいことが分かっています。

イギリスの物理学者が原子核の存在を証明

物質が原子でできているとする考え方は、紀元前500年前の古代ギリシャにもありました。近代的な原子の概念は、1810年頃にイギリスの物理学者ジョン・ドルトンによって確立されます。

その後、多くの科学者が実験を行い、原子の内部構造に迫ります。1897年にはイギリスの物理学者J.J.トムソンが電子を発見し、原子の中にもっと小さな粒子があることが証明されました。

1911年には、イギリスの物理学者アーネスト・ラザフォードが、原子核の存在を証明します。ラザフォードは実験によって原子の中心に硬い何かがあることを発見し、その周りを電子が飛び回っている原子模型を完成させました。

原子核はどのような構造をしている?

原子核は、2種類の粒子で構成されていることが分かっています。原子核の構造や各粒子の性質について見ていきましょう。

陽子と中性子で構成されている

原子の中には電子と原子核があり、原子核はさらにいくつかの「陽子」と「中性子」で構成されています。最終的に、原子は電子・陽子・中性子に分解できると考えてよいでしょう。

陽子と中性子の大きさはほぼ同じですが、陽子はプラスの電気を帯び、中性子は電気を帯びていないという違いがあります。一方、原子核の周囲を飛び回る電子が帯びているのは、マイナスの電気です。

陽子と電子は持っている電気の量(電荷)も数も同じであるため、原子全体の電荷の合計は0となります。

陽子と中性子の組み合わせで違う物質に

原子の性質は、原子核に陽子と中性子がいくつあるかによって決まります。例えば、陽子が1個の原子は水素、陽子と中性子が2個ずつある原子はヘリウムです。

充電池の材料に使われるリチウムは、陽子が3個、中性子が4個の組み合わせでできています。生物の体を構成する炭素の原子核には陽子が6個、中性子は5~8個入っています。

原子の化学的性質は陽子の数で決まり、中性子の数は基本的に関係ありません。陽子が6個の炭素には、中性子が6個のもの以外に5個や7個のものがありますが、化学的な性質はどれも同じです。

原子核が持つ性質とは

原子の研究が進むにつれ、原子核が持つ性質も明らかになっています。原子力発電など、原子核の利用例も合わせて紹介します。

陽子と中性子を結合させる「核力」

陽子と中性子を結合させる力を「核力」といいます。通常、同じ電気を帯びている物質同士を近付けると、反発する力(斥力・せきりょく)が働きます。

しかし、原子核の中ではプラスの電気を帯びる陽子同士が密接しており、非常に不自然でした。そこで科学者たちは、原子核の中で斥力を超える力・核力が働いているのではないかと考えます。

核力が発生する仕組みを解明したのが、1949年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹です。湯川は、未知の粒子(中間子)が陽子や中性子との間で交換されることで核力が生じると考え、1935年に「中間子論」を発表します。

その後、実際にいくつかの中間子の存在が確認され、核力を生み出すものが「パイ中間子」であることが分かりました。


湯川秀樹博士 – 田村茂撮影 『現代日本の百人』 文芸春秋新社刊、1953年。(PD)

陽子や中性子をぶつけると起きる原子核反応

原子核に他の粒子がぶつかり、衝撃によって別の原子核に変わることを原子核反応といいます。初めて原子核反応を試みたのが、原子核の存在を証明したラザフォードです。

彼は、窒素の原子核にα(アルファ)粒子をぶつけて、酸素の原子核に変えることに成功しました。原子核反応には核融合や核分裂など、いくつかの種類があります。

核融合は水素のような軽い原子核同士をぶつけて、重い原子核に変える反応です。逆に、重い原子核にエネルギーを持つ中性子をぶつけて原子核を二つに割ることを、核分裂と呼んでいます。原子力発電は、ウランの核分裂で発生するエネルギーを利用しています。

物質を構成する原子の中心にある原子核

原子核は、物質を構成する原子の中心にある粒子です。物質の性質は、原子核の中にある陽子と中性子の組み合わせで決まっています。

もし、原子核の構成を自由に変えられたら、見たこともない物質ができるかもしれません。親子で原子や原子核について学び、さまざまな可能性を話し合ってみると、子どもにとってもよい経験になるでしょう。